Synchronicity

 例えば、学校帰りに「今日の夜ごはんはカレーがいいなあ」と思って帰宅すると、母が嬉しそうに鍋をかき混ぜていて、その中身がカレーだったり、またある時は、お店で「このポーチかわいいな。買おうかな、どうしようかなあ」と迷った挙句に買って帰ると、リビングで妹がニコニコしながら同じポーチを「いいでしょ!」と自慢げに見せてきたり……。

 この現象に名前を付けるとすると、一体何だろう。

 単に血が繋がっているから、好みが同じなのかなとも思ったのだけれど、どうやら、そうとも限らないらしい。

 

 私は特に食欲が人より旺盛というわけではないけれど、時に、「ジンジャーエールが飲みたい」とか「お団子食べたい」とか「チョコのロールケーキが食べたい」とか漠然とだけど、ピンポイントな欲求が浮かんでくる。

 そして、最近、その欲求の大抵3日以内に、山田くんがジンジャーエールやらお団子やらロールケーキなどを持参してやって来るようになった。

 この現象に未だに名前を付けられない私は、この流れを説明するわけでもなく、ただ単に「ありがとう」と言って受け取る。「ありがとう、ちょうど食べたかったの(もしくは飲みたかったの)」だと、何だか安っぽい社交辞令にしか受け取ってもらえなさそうで、わざと何でもなさそうに受け取る。そんな時でも彼は笑顔なのだけれど。

 好みが同じというわけではない。私は薄味が好きだし、山田くんは濃い味が好きだ。私は辛いものが好きで、山田くんは多分、そんなに辛いものは得意ではない。私は山田くんに会えない夜も好きだけど、山田くんは私に会えない夜は寂しいらしい。

 いろいろ好みも違って考え方も違うのに、たまに何かが重なることがあって、だからこそ、もっと君のことが知りたいと思えるのかもしれないな。と、本人には直接は言えないけれど、そう思っている。